私達マムズスタイルが活動をするときに心がけていること。それは出会いの機会をきっかけに、お母さん同士が互いに助け合える地域の存在となってくれるよう時間と質を作っていくことです。お母さんや子ども達が「共助・養育できる地域社会」を思い描いています「ママ友作り」とざっくり言ってしまえばとてもカジュアルです。
さて、「ママ友」という言葉。ママがママを求め、自分のために積極的に友達を作る姿は日本独特です。身近な国アメリカでは「ママ友」という言葉がないそう。子どものお友達作りを目的に、保護者同士が連絡先を交換して遊ぶ。母親にとって大切なのはママ友ではなく、「子どもの友達」のようです。
ママ友作りに熱心でなければならない理由
お母さんがママ友作りに熱心にならなければならないのには、切迫した理由があります。「ワンオペ育児」という衝撃的な言葉が登場したように、「核家族化」によって育児など頼れる存在が薄れています。夫婦の職業によっては転勤を伴い、転妻として育児や仕事に従事する母親が頼れるのは夫しかいない。そんな家庭は地方でも都会でも多く見られます。総務省「社会生活基本調査」(平成23年)によると、6歳未満の子どもを持つ夫の家事・育児時間は約1時間程度で、妻の約7時間半と大きな開きがあります。夫婦間で共有できる時間がほとんど取れなければ、母親の孤独感はますます募ります。家庭、そして自分に一番共感してくれる存在として「ママ友」を求める姿はどの地域でも見られる日本の母親の姿となっているのです。
ママ友作りは課題解決にはならない
アメリカでは夫の家事・育児時間は約3時間、妻は約5時間半という調査結果が出ています。日本より2時間多く夫が家事・育児を担い、妻は日本に比べて約2時間負担が軽減されています。母親が自分のママ友作りドライなのは、夫の家事・育児参加が日本の夫の3倍はあること(家庭時間を共有したり、子どもと一緒に過ごす)。ベビーシッターの利用が一般的に行われていること(とはいえベビーシッターの時給は決して低くはない)。2人に1人の割合で日本女性が妊娠や出産を機に退職するのに対し(M字カーブ)、緩やかな台形就労を形作るアメリカは妊娠や出産といった大きなライフイベントにあっても働き続けるほうが一般的で、家庭以外に仕事という社会的役割を担う場があること。その結果、管理的職業に従事する割合は、日本13%に対しアメリカ43.4%と女性が責任ある立場に就き評価されている(総務省「労働力調査(基本集計)」平成28年)。
初対面の母親同士がSNSでつながったり、メール交換を切迫した様子で行っている。この様子は今私達母親の置かれている状況の切実さを如実に表している。私達マムズスタイルがママ友を推進するための時間や場所を企画するのには「共助・養育できる地域社会」を目指さざるを得ない社会背景がある。しかし裏返せば、ママ友と100人つながったら課題は解決されるのか?1000人とつながればいいのか?ということに気づく。ママ友作りは置かれている状況への対処のひとつ。治療で例えてみれば、外側の症状に薬を塗って直しているようなもの。しかし根本的には、体内で複雑に絡む夫婦のあり方や働き方、生き方といった個人を見つめなおしながらも、なお解決に到らない社会状況がある。「家庭、地域、社会のよりよい暮らしとは?」「私達ができることは?」そんな一歩づつを創り上げながら、本当の意味の子育てする母親が「つながらなければ孤独」という母親相互のつながりから抜け出て、新しいつながりへと歩んでいくことが未来への在り方だと感じるのです。
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