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いま、世界で不足している女性下着

 

資源ごみはごみなのか

 

毎日の暮らしに欠かせない洋服。気に入って何年も着る服もあれば、ワンシーズンだけの服もある。いずれにせよ、形あるものはいずれ寿命が来て終わりの日がやってくる。それは「捨てる」とか「切って雑巾にする」とかそんな形で自分の元を去っていく。

 

衣料品を「捨てる」といっても、それぞれの自治体で行われている「資源ごみ(リサイクル)」に「捨てる」方が多いことでしょう。シミ、擦り切れ、毛玉といったもう見るに忍びない姿になって指定のゴミ袋に入れる時。資源(リサイクル)といっても、

 

(これはゴミです・・)

と思いながら袋に入れている自分がいる。

 

 

 

集積所を去った後、それらの衣料品がどのようになっていくのか?

 

リサイクルとして工場で使うウエスになるとか自動車のクッション材になるという話は聞いたことがある。しかし実感が持てないのは私だけではないはず。

 

今回、衣料品のリサイクルとウエスの加工製造する企業さんを訪問させていただいた。それは思いもかけずに世界の貧困や女性支援に繋がった。

家庭にある一枚の服が、広い世界へとつながり人を支えることができる。そんな様子を後半で見ていただきたい。

 

訪問先の企業さんには2時間近くに渡ってたくさんのお話と社内をご案内いただきました。お忙しい最中ありがとうございました!

 

 

私の服は東南アジアに出国してまた帰国する 

 

 

群馬県内で行政(自治体の資源ごみ)、市民団体(子ども会など)、事業所(中古屋さん)で回収された古衣料(*)はこちらの企業さんのもとへとやってくる。古衣料は中古衣料、ウエス、反毛原料としてリユース、リサイクルされるのだ。 

*綿や化繊等の衣類、シーツ、毛布、帽子やぬいぐるみ等小物類

 

<一般的な古衣料のリユース・リサイクル>

・国内の古着屋さんで中古衣料として販売やリメイク後に販売

・海外で古着として販売されたり加工製造されてウエスとして販売

・ボタンや金属を取り除き裁断されてウエスとなり、工場等で使用

・古着やウエスにならなかった残りの端切れなどは繊維状に砕かれて半毛原料となり軍手やカーペットとなって販売

 

 

 

こちらの企業さんでは、

寄せられた古衣料をこのような順でウエス専門に加工、製造を行っている。

 

①古衣料を包んでいるビニールを取り除き圧縮機にかける

②重量を計量後、トラックに積み東京の港から東南アジアへ輸出

③提携先の工場にてウエスになる古衣料のボタンや金属、部分的なシミなど部分カット。

ウエスにならない古衣料は各国の古着屋で販売され現地の収入となる

④カット処理済の古衣料を白、色物、または顧客の要望サイズに応じてカットするなど加工製造

④結束機で梱包し納品

 

 

若い男性2名が資源ごみとして出されたビニール袋を手際よく裂きながら、圧縮機に古衣料を流していく。あっという間に人一人分の高さぐらいのブロックが完成。服とはいえブロックひとつの重さは約500キロ弱ほど。こんなブロックを次々と作っていく。まわりをシーツなどの布でぐるりと囲み。荷崩れしないようひとまとめにしたら完成。この形で陸路を通り東京の港から複数の東南アジア諸国へと輸出される。ルートからルートにのり、服によっては遠くアフリカまで運ばれていく。まさか自分の服が海外に行っているとは思わなかった!!

 

フォークリフト奥に写るのは海外から戻ってきた衣料品。十字に結束されてまた群馬に戻ってきた。ボタンやファスナーなどの金属類、部分的にできてしまったシミなど取り除かれている。こうして群馬県を出発しウエス材料として再び戻ってくるは約10%と言います。

 

 

 

ウエス用に加工

 

もう一部屋では、30~40代の女性4,5名がうずたかく積まれた衣料品のなかで黙々と作業している。この日は発注元より指定されたサイズに衣料品をカットし直す作業に取り組んでいた。発注内容によってはプリント部分が無いものなど細かい要望にも応えている。

目を見張るのはその手元の速さ!綿やポリエステルなど様々素材で作られている衣料を目や手触りで瞬時に判断しながら高速回転する機械に滑りこませてカット。素材別のかごへとまるで手裏剣のようにシャシャッ!と分け入れる。とても自分にはできそうにない・・。

カットする裁断機にペタッと施されたカンガルーアップリケ。おそらく毎日作業するであろう裁断機を、こんなカワイイにしてしまう様子に女性らしさを感じずにはいられない。

 

 

 

 

古衣料品はほとんど捨てるところがない

 

これは女性たちにカットされて残った小さな生地。こちらの企業さんで見る古衣料の最後の姿だ。

海外で現地の人たちの古衣料品として再販売され、日本に戻ってきてウエスに。こちらの企業さんでは紡績は行っていないためここで残った生地は焼却処分となるが、ウエス加工の際に出た一部分は次に反毛原料として砕かれて軍手や絨毯といった紡績へと生かされる。資源ごみとして出された衣料品のほぼ100%が再利用されているのだ。

 

(これはゴミです・・)

と思いながらゴミ袋に入れる必要はもうない。

 

 

 

いま、世界で不足している女性下着

 

東南アジア諸国へと輸出される衣料品。日本の古着を購入するのはどんな人たちなのか。年に1度提携先を訪れていると輸出国でこんな実感を持つと言います。

 

 

 

日本人が来ていた服はそれだけでブランド。

 

中国など海外で製造された衣料を日本で購入するのが当たり前になっている現在のアパレル事情。日本製の衣料を見つけること自体が非常に難しくなってきています。しかし日本人が求める質の高い規格に則って製造された日本販売の衣料は他の国では感じられない紡績や縫製の質を実感できると言います。ホンダやトヨタといった日本車が壊れにくい高品質の自動車として海外で人気があるように、日本規格をクリアして販売された衣料もまた高品質保障の衣料として価値を広く認識されていると言います。

日本から輸出されてきた衣料品は、ブランドや傷み等ランクごとに振り分けられながら現地の中古衣料専門店へと並べられる。

 

 

 

日本で販売される中古衣料をよく見たことはあるだろうか。シミや破けなどほとんどありません(当たり前ですが・・)。ひとつでもシミがあればやっぱり買う気にはなれない。中古とはいえそのぐらい汚れには敏感になってしまうもの。しかしこんな感覚も日本人特有と言います。

 

 

 

世界では、裸で生活する人がまだまだ多い。

 

東南アジア諸国へ輸出された衣料品、なかにはアフリカへのルートへと回っていく衣料品もあります。新品の衣料品を購入できるのは富裕層、中古の衣料品を購入するのは富裕層から下。子ども達はほとんど裸で走り回り、女性であっても胸を出したままの様子で家事や育児をする光景を今でも目にすると言います。日本や欧米諸国のように家でも外でも必ず衣料を身に付けているという当たり前はない。しかしそんな彼らも服を着る時があります。それは町に出て物々交換を基本とした必要品の購買です。

日本のように透明な水で洗濯をしたり調理をしたりすることがあまりない現地では、泥水のような茶色い川を生活水に使用しています。そのため日本人が気にする食べこぼしでできたシミもさほど気にするまでもない汚れと捉えられています。日本では売れないシミ衣料も、現地では販売品となって大切な収入源となるのです。

 

 

 

 

中古の下着も海外で売られている。

 

行政や市民団体、事業所から集まってくる衣料品のうち非常に手に入りづらくなってきた衣料があると言います。それは女性下着です。

 

中身が識別しやすよう1990年代に導入されたゴミ袋の半透明化。かろうじて私も「昔は黒だった!」と思い出せます。これにより、多くの女性は自分の使用した下着を透明なゴミ袋に入れづらくなりました。どうしているかと言えば使用済の下着は焼却となるよう可燃ごみに出しています。ご丁寧に切り刻む方も多いのではないでしょうか。

 

「シャツやスカートは手に入っても、女性下着ってないんですよ。だからあれば人気です。」

 

 

自分の身に付けていた下着がまさか海外で売られて着られているとは!!

 

ちょっとした衝撃を受けました。

しかし古衣料を購入していくのが先述のように富裕層から下とすれば、下着を持っていない現地の女性や貧困女性の支援にもつながっていく可能性があります。これから下着は資源ごみに出そう、そしてボロボロまで着ずにまだ使える手前で出そう・・なんて思えたのでした。

 

ちょっと話は変わりますが、これまでマムズスタイルでは女性下着を必要とする様々な場面に出会ってきました。

 

例えば授乳服がまだ現在のようになかった頃。

電車内で泣く子をなだめるために致し方なく胸を出して授乳したモーハス創業の光浦社長。「こんな思いをしながら子育てをしなくちゃいけないなんて!」と当時裁縫にたけていた友人による手作りの授乳ブラを縫い始めたのが授乳服の始まりで、女性が積極的に社会に出る品であり現在でも助産師推奨の商品となっています。(マムズスタイルでの卸販売は3年前に終了しました)

 

また昨年の台風被害により避難所には中古のシャツやズボンは入ってもデリケートな女性用品(ブラ、ショーツ、生理用品等)はなかなか入らなかった。何日も同じショーツを身に付けざるを得ない女性もおり、スマートサプライを使用して新品の女性用品をアマゾンで購入してもらい長野の避難所へ届ける支援を行った。

 

女性支援と下着の関係性は男性にはない非常に強い結びつきを感じます。

 

 

 

 

シーズンごとに流行り廃りが巡るましいスピードで展開するアパレル業界。新品であっても生産される衣料の2枚に1枚は廃棄されると言います。年間29億点生産され16億点がロス。日本の総人口1億2600万人と比較しても、一人当たりの消費がとてもロスを補えないのが現状です。

 

自分の一枚を世界の資源、女性支援としていくか否か。

月1回の資源ごみはそんな世界とのつながりを意識する日になりそうだ。